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とよおか旅時間 竣工式あいさつ
このたび、多くの関係各位のご協力により豊丘村観光拠点施設「とよおか旅時間」の竣工を迎えることができました。
この施設を含む一帯は、内閣府認定の地域再生計画「道の駅を核とした小さな拠点整備計画」に基づき、平成30年4月に開業した道の駅 南信州とよおかマルシェを中心として、さらなる発展が求められていました。そこで、平成30年8月から「小さな拠点整備構想検討委員会」を立ち上げ、農業・商業・観光等の産業振興や周辺整備について研究検討されました。その中で、折しも新型コロナウイルスの世界的パンデミックにより注目をされている、アウトドアアクティビティを活用した地域活性化に向け、自転車を活用した観光(サイクルツーリズム)への取り組みと、道の駅の利便性、安全性等を補完する施設整備を計画いたしました。
当施設には、豊丘村観光協会とサイクルツーリズムを推進するオフィスを有するとともに、サイクリングステーションとして、レンタサイクル、休憩室、更衣室、シャワールーム、ロッカー、メンテナンスコーナーを備えています。また、道の駅駐車場と独立した大型車専用の駐車場を設け、利用者の安全性を確保しました。さらには、村内の竹を活用する竹ボイラーとそれを熱源とした足湯設備や、新たな地域資源として振興を図るチョウザメの鑑賞用水槽を設け、観光振興による地域活性化の拠点として整備しました。
一つひとつの施策の切り口とすれば小さ目の物かもしれません。しかし、リニア中央新幹線の開業や三遠南信道の開通を控える飯田下伊那地方とすれば、リニア長野県駅の周辺整備に始まり、それぞれの地域活性化のための様々なインフラの整備、それらを結びつける2次交通の整備など、将来を見据えたこの地域の在り方を、住民の皆様と民間企業、行政、さらには大学の力も借りながら、それぞれの市町村が真剣に模索するステージに時代は進行してきました。
折からの新型コロナウイルスの世界的流行もあり、さらには地球温暖化による災害も叫ばれる中、カーボンニュートラルの目標が世界各国で宣言され、エネルギーや自動車産業などの基幹産業の大転換の方針も示されようとしています。
また、世界経済を牛耳るアメリカのGAFAと呼ばれる巨大情報産業グループやマイクロソフト、さらには中国でも凄まじい寡占化を遂げながら進化しているBATHと呼ばれる情報産業グループの台頭など、一部のIT企業がデジタル化やAIによる利益を独り占めにして中堅国の国家予算並みの利益をむさぼる現実、一向に収束が見えない世界各地の武力紛争などの世界的危機状況を人類が共有する事で、本来の基本的人権や地球の自然を守るために、地球規模の持続可能な節度ある発展を願うSDGsも宣言されました。
まさに世界的な経済、産業構造、文化教育、人類の生き様にもかかわる価値観の変化、いわゆる世界的なパラダイムシフトが起動し始めるこのタイミングでリニア時代を迎える事が出来る飯田下伊那です。コロナ禍の中でリモートワークも進み、会社や学校も住居地に必ずしも近い必要性は薄くなりました。さらには自然と共に遊んだり仕事をすることで心身のストレスを減らす効果も医学的に認められてきました。
2050年までにはこの飯田下伊那地方を日本で一番住みやすく、面白くて活力があると、誰もが感じられる地域へと育てていく事を南信州広域連合の目標といたしました。その為のグランドデザインを力を合わせて描いていくのですが、最初から経済・産業・教育・文化すべてに於いてのフルスペックを描くことは課題が大きすぎて手が届きません。まずは大きな目標に対して少し距離を置きながら、今私たちの地域が持つ田舎の強みを生かした、すぐに取り掛かれる楽しい施策を具現化していく事がこの地域の未来図を少しずつクリアーにしていく事に繋がるのではないでしょうか。
このたびの豊丘村観光拠点施設「とよおか旅時間」の整備をキックオフとして、高森町が川の駅に企画しているカヌー、ラフティング、ビーチバレー、松川町の果物観光、清流苑ングロードや登山コース、それぞれが有機的に結ばれることによる相乗効果は、北部5町村の枠を超えた可能性を秘めていると言えるでしょう。
結びに、建設にあたり、格別のご理解、ご協力をいただきました地権者の皆様、そして、事業実施にあたりご支援、ご指導いただきました国・県等の関係機関の皆様、さらには高度な技術力に支えられ、安全な施工にご尽力いただいた設計監理・施工業者の皆様に深甚なる敬意と心から感謝申しあげご挨拶とさせていただきます。
令和3年5月8日 豊丘村長 下平喜隆